Kunimori Motors Co., Ltd.
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久々の趣味との出会い

英国車を修理すること以外、これといった趣味がなかった私に、久々に「これは面白い」と思える時間が戻ってきました。
といっても、まったく新しいものではなく、子どもの頃に夢中になっていた電子工作の延長線上にある趣味です。

思い返せば、小中学生の頃はMSXでゲームを作り、雑誌を見ながら見よう見まねでプログラムを書いていました。
当時はC言語という言葉すらよく分からず、ただ「動いた」「動かない」で一喜一憂していた記憶があります。
今になって、そのC言語を改めて学び直すことになるとは思ってもみませんでした。


ESP32をPCにつなぎ、Arduino IDEでコードを書いて書き込めば一瞬で動く。
エラーが出ても、どこが悪いのかを比較的分かりやすく教えてくれる。
分からないことがあればネットを調べれば情報はいくらでも出てきますし、最近ではAIにも大いに助けられています。

英国車の修理も、突き詰めれば「仕組みを理解し、原因を探り、直す」という点では同じですが、
マイコンやプログラムはまた違った頭の使い方があって新鮮です。
試して、失敗して、原因を考えて、もう一度やる。その繰り返しがとにかく楽しい。

仕事の合間に少しずつ触りながら、これは長く楽しめそうな趣味になりそうだと感じています。
英国車と同じように、焦らず、じっくり付き合っていきたいと思います。

パワステインストール

正月初めの作業はJAGUAR E-TYPEにパワーステアリングを取り付け。


ジャガーEタイプは、誰が見ても「美しい」と感じる特別なクルマです。その一方で、運転してみると少しクセがあるのも事実です。特にハンドル操作は、都市部の駐車場や低速での走行時に力が必要で、慣れていない方や街中を走る機会が多い方にとっては負担に感じる場面もあります。

今回行ったのは、その負担を減らすためのパワーステアリング化です。目的は、最新のクルマのように軽くすることではありません。Eタイプらしい運転感覚や雰囲気を残したまま、「少しだけ楽にする」ことを大切にしました。

動画では、まずパワステが効いてない状態からパワステを効かせ停まった状態でもスムーズにハンドルが回る様子をご覧いただけます。力を入れなくても自然に操作できるため、駐車や切り返しがとても楽になります。一方で、走り出すとハンドルが軽くなりすぎることはなく、クルマを操っている感覚はしっかり残っています。

クラシックカーは、決して特別な日にだけ乗るものではありません。こうした工夫を重ねることで、日常のショッピング、ドライブやツーリングでも、もっと気軽に楽しめる存在になります。美しさはそのままに、扱いやすさを少しだけ現代に近づける。今回の作業は、そんな考え方から生まれた一例です。

ハンドルを握った瞬間に、「あ、違う」と感じてもらえる。
その変化を、ぜひ動画でも見ていただければと思います。

年内の営業終了


2025年、國森モータース最後の納車は A40ファリーナ となりました。
今回の作業は車検整備に加え、キャブレターをウェーバーから SU 1 1/4 × 2基 へ変更。
しかし単純なコンバージョンでは済まず、アルミ削り出しによるワンオフ・インシュレーターの製作、配管レイアウトの再構築、アクセルペダル機構の加工など、想定以上に手を入れる内容となりました。
エンジンルームは、クラシックの佇まいを崩さぬよう整理しつつ、実走行での信頼性を最優先。
SUならではの扱いやすさと、現代交通環境に耐えるレスポンスを両立しています。


コクピットは配線をすべて引き直し、メーターパネルも新たに製作。
スイッチ類や追加メーター、MSDの配置も含め、まさに
「男の仕事場」そのものの空気感に仕上がりました。
点火系には MSD を採用。
マイナス6℃の朝でも一発始動、アイドリングは極めて安定し、カブリの気配も皆無。
都内のストップ&ゴーでも不安なくお乗りいただける仕様となっています。
見た目はラリーカーのような緊張感を纏いながら、
中身は「きちんと走り、きちんと止まり、きちんと始動する」――
日常で使えるクラシックカーとして仕上げることができました。
なお、2026年の仕事初めは1月4日を予定しております。
本年も多くのご縁とご信頼をいただき、誠にありがとうございました。
来年も一台一台に誠実に向き合い、國森モータースらしい仕事を積み重ねてまいります。
どうぞ良いお年をお迎えください。
そして2026年も、よろしくお願いいたします。

幌張りにうってつけの日

秋晴れの蓼科でTR3A幌張り

Fitting the Soft Top on a Triumph TR3A under the Autumn Sun of Tateshina

幌を張るのは、春か秋の暖かい日が最適と言われています。
夏に張ると、気温が高く生地が柔らかいため、かなり強く張らないと冬にはダルんでしまいます。
逆に冬は幌が硬く縮んでしまい、相当温めなければ綺麗に張れません。

It is often said that the best time to fit a soft top is during a mild spring or autumn day.
If fitted in midsummer, the material stretches too easily and will sag loosely once the cold season arrives.
In winter, the fabric becomes stiff and must be thoroughly warmed before it can be stretched neatly into place.

ここ蓼科では、秋の日中の限られた暖かい時間が勝負です。
幌を日向に置いてしっかり温め、柔らかくなったところで午後に一気に張り込みます。
少しコツのいるTR3Aの幌ですが、何度も経験しているので迷うことはありません。

Here in Tateshina, the window of warm daytime sunlight is short during autumn.
We place the hood in the sun to soften it thoroughly, then fit it in one go during the warmer afternoon.
The TR3A top requires a bit of technique, but after many installations, the process feels natural.

今回もテンションやスナップの位置がぴたりと決まり、美しく張り上がりました。
幌のラインもクラシック・ブリティッシュ・ロードスターらしい、張りのある姿に。
しばらくは張りっぱなしにして、生地をしっかり馴染ませていきます。

Once again, the tension and snap alignment came together perfectly,
resulting in a taut and elegant profile—just as a proper British roadster should have.
We’ll keep it fitted for a while to allow the material to settle naturally.

AUSTIN HEALEY 100/4 点火系アップデート

クラシックカーにおける点火系は、信頼性と走行性能を大きく左右する重要な要素です。今回整備したのは Austin Healey 100/4 BN2。ラリーを戦うためのメンテナンスの一環として、ディストリビューターの交換を行いました。

しかし単純な「付け替え」ではなく、旋盤加工を伴う少し特殊な作業です。

長年使用されたオリジナルのディストリビューターはシャフトに大きなガタがあり、すでにポイントレス化されていたものの正確な点火は望めません。ラリーのように長時間・過酷な環境での走行を考えると、このままでは不安要素が残ります。




上が新しいユニット、下がオリジナル。外見は似ていますが、寸法やシャフト長さが異なり、そのままではBN2のエンジンに適合しません。



まずは旧ディストリビューターから採寸し、新しいユニットに合わせて加工を行います。




過去にピンが飛び出だした経験があるので、溝を作り飛び出し防止のスプリングが入るように加工


エンジンへ無事装着。デジタル制御による正確な点火タイミングが得られるようになり、プラグのカブリは皆無。高回転域でも安定した火花供給が保証され、ラリーイベントにふさわしい仕様となりました。


クラシックカーの点火系は、一見問題なくても内部のガタや精度不足が隠れています。今回導入した 123IGNITION のようなデジタル点火は、MSDと並びクラシックラリーに必須のアップデート。正確な点火はエンジンの安定性を大きく高め、安心して走り込むための重要な要素です。