Kunimori Motors Co., Ltd.
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リフト・ザ・ドットとテナックス

クラシックカーの幌やトノーカバーを固定する際に欠かせない金具には、実はいくつか種類があります。その代表的なものが「Lift-the-Dot(リフト・ザ・ドット)」と「Tenax(テナックス)」です。



写真にある四角い形の金具がリフト・ザ・ドット。名の通り「DOT」と刻印され、片側から持ち上げるように外す仕組みになっています。強い保持力がありながら、決まった方向に持ち上げることで外せるため、走行中の振動で外れる心配が少ないのが特徴です。

一方で丸い形をしたのがテナックス。こちらは頭を押し込んで固定し、引き上げて外すタイプ。比較的ワンタッチで扱いやすく、幌やカバーの着脱を頻繁に行う場面ではとても便利です。イギリス車を中心に、クラシックカーの幌・トノーカバー・ドアパネル固定などで長年使われ続けています。



どちらの金具も「Made in England」と刻まれている通り、今なお英国で生産され続けるクラシックなパーツ。形や構造に個性があり、車種や年代によって使い分けられてきました。細部の金具ひとつにも歴史と機能美が宿っているのが、クラシックカーの面白さです。

整備の神が舞い降りて

春のラリーイベントを終えたトライアンフTR3
そのイベント帰宅中に運転席足元に嫌な甘い匂いが漂い、ヒーターホースから冷却水が滲み出しているとオーナーから緊急入電

その場でヒーターユニットに冷却水がまわらない様にバイパスさせ無事にオーナー様はご帰宅

TR2から3Bまでのヒーターユニットは、センターメーターパネルの真裏に密着するように取り付けられています。しかも配管は横ではなく真上に伸びるという設計。これがまた整備泣かせで、メーターパネルを外さずに手を入れようとすれば、手の関節を外すか、整備の神が舞い降りる奇跡でもなければ到底アクセスできない位置です。



奇跡的に整備の神が舞い降りて古いホースを外してみると、やはりというべきかゴムは硬化し、表面には無数のクラックが走っていました。これではいつ大きく裂けても不思議ではありません。イベント本番でトラブルにならなかったのは幸運でした。

そこでヒーターホースは全て新品に交換。加えて古いホースバンドも交換、新しいホースに交換すると安心感が違いますよね。

秋のロードイベントに向けて

朝晩の風に少し秋の気配を感じるようになってきました。
國森モータースでも、そろそろ秋のロードラリーに向けた準備が始まります。

そのため、本日から9月末までは一般整備作業を少し制限させていただきます。
特に、9月26日から29日にかけて開催される「ラフェスタ・アウトゥンノ」に出走する車両のメンテナンスを優先する期間となります。

普段の整備をご依頼のお客様には、お時間をいただくことになるかもしれませんが、どうぞご理解いただければ幸いです。


いつもの日常の中に、少し特別なラリー前の空気が流れています。
今年もまた無事に秋のイベントを迎えられるよう、工場の中も少し慌ただしくなってきました。

ジェンセンヒーレーのウェーバーキャブレターオーバーホール

クラシックカーメンテナンスの魅力の一つは、時代を超えて生き続けるメカニズムに触れられることです。今回はジェンセンヒーレーに搭載されているウェーバーキャブレターをオーバーホールしました。



長年の使用でキャブレター内部には汚れや摩耗が蓄積し、燃調の精度も失われがちです。写真のように分解してみると、各部のゴミの蓄積やジエットの詰まりがはっきりと分かります。細かい真鍮製のジェット類やフロートを一つひとつ確認しながら、清掃・調整を行います。



オーバーホール後のキャブレターは、まるで別物。新品のような輝きを取り戻し、効率も大幅に改善されます。クロームのファンネルが輝く姿は、見ているだけでも気持ちが高まりますね。

キャブレターはエンジンの「呼吸器官」。その状態が走りのフィーリングを大きく左右します。オーバーホールによって蘇ったウェーバーキャブは、ジェンセンヒーレーの心臓に再び生命を吹き込み、これからも力強い走りを支えてくれることでしょう。

安心に繋がる整備

ボンネットを支えるバーの受けゴム――普段は誰も気に留めない小さな部品です。
けれども、このゴムが硬化して力を失えば、走行中にバーが外れ、エンジンルームの配線に触れてショートを起こす危険がある。たったこれだけの部品が、大きなトラブルのきっかけになるのです。

実際に交換してみると、長年の熱でカチカチに固まった古いゴムと、新しく柔軟なゴムとの違いは一目瞭然でした。普段はほとんど交換されない部品ですが、こうした「小さな予防整備」こそが、安心して走るための大切な積み重ねだと改めて感じます。

クラシックカーを守る整備は「壊れてから直す」のではなく「壊れる前に手を打つ」こと。小さなゴムひとつの交換が、大きな安心に繋がるのです。